貧困地域でボランティア活動を行う若い医師

医大を卒業した多くの人々は、ハノイのような大都市で働きたいと願うようですが、フンイエン省出身のグェンチェンクェットさんは違います。彼が選んだ職場は北方の山岳地帯で、そこで暮らす恵まれない人々のために働くというのです。「将来的に結婚する時が来たら、山岳地帯の人々に誠心誠意のケアを施すのは難しくなると思うのです」と、クェットさんは話します。大学最後の年だった3年前、クェットさんは山岳地帯や国境付近、離島などの医療体制が整っていない地域へ医者を派遣するプロジェクトについて耳にしました。その後しばらく悩みましたが、身内からの承諾を取りつけ、このプロジェクトに申し込みました。

クェットさんは、ラオカイ、ソンラ、バックカン、ディエンビエン北方の省に最初に派遣される7人の中の一人です。外科医として2年の教育をうけ、28歳となったクェットさんは、今年7月にラオカイ省の北の山岳地帯にあるバックハー総合病院に赴任先が告げられました。

バックハーは、面積6万8,000㎡ほどのバックハーの人口は、約6万4,000人で、そのうち85%が少数民族です。

この地域は医療サービスの需要を満たすことができず苦労しています。医師が40人しかおらず、1万人あたりに6.6人の医者しかいない計算になります。山岳地帯特有の地形もまた、困難な状況の要因です。

バックハ―総合病院のグェンヌートゥアン副院長によると、病院は山岳地帯に位置していますが、バックハー、シンマン、シマカイの3地区の人々に医療を施しています。そのため、病院はいつも患者でいっぱいです。副院長率いる外科部門もしょっちゅうオーバーワーク状態になっています。外科部門の病床数は50床ですが、外科医は2人のみで、さらに1人はまだ訓練課程のため、副院長は1人で働かなければなりませんでした。

「手術で1日に4~6回も執刀しなければならない日もあります。1つの手術を終えてくたびれていても、また次の手術の指揮を執らなければなりません。」

「長時間の立ち仕事で脚の感覚も麻痺してしまいます」と、トゥアン副院長はベトナムプラスオンライン新聞で述べています。

彼によるとクェットさんがその負担を和らげてくれ、これまで都市部の病院に頼まざるを得なかった症例の対応も改善されるだろうということです。

「3年前に病院は内視鏡手術の設備を整えましたが、医師不足のため、ほとんど使われることはありませんでした。」

「これらの設備を活用して行う手術は確実に増えていくでしょう。」

グェンキムフオン院長は、設備自体は新しいものを導入してきたのに、病院はいつも医師不足だったと話しました。

「この10年で初めて若い医師がやってきてくれました。」

「クェットさんが来たことにより、病院がさらに進んだ技術を用いることができるようになることを願ってます」と加えて述べました。

バックハー病院に赴任した頃を振り返り、クェットさんは次のように話しています。

「最初の週は朝から晩までずっと雨だったので、ホームシックが悪化してしまいました。職場環境の変化とバックハー地区の静けさで、気持ちが不安定になっていたのです。」

彼は赴任して最初の週は病院からほとんど出なかったそうです。午前中は診察、午後は手術を執刀し、夕方は病室の巡回を行いました。

「1人暮らしで、まだこの土地に慣れていなかったので、患者の病室を訪れて話をすることで、寂しさを紛らわせたり、患者の様子を見たりしていました。」とクェットさん。

仕事で忙しく、診察と手術に追われ、平均して1日に4回の手術に執刀するほどの暮らしの中で、まもなくホームシックも落ち着いていきました。

「山岳地方の暮らしはもっとのんびりだと思っていましたが、この仕事をしていると、信じられないほど早く時間が過ぎていきます。」

「何もかもがあっという間の出来事だったような感じですが、まだここにきて2ヵ月しか経っていません。」

クェットさんは、バックハー地区、ナムモンコミューンから来たモン族のスンセイサウさんに初めて行った内視鏡手術のことが忘れられないと言います。午後5時半ころ、病院スタッフがクェットさんの部屋に駆け込んできて、虫垂炎ですぐに手術が必要な患者がいると伝えました。クェットさんが行くと、痛みに耐えて口を真一文字に引き結び、お腹を手で押さえた男性がベッドに横たわっていました。診察をすると、すぐに40分ほどの手術を行いました。患者の息子のスンセイキーさんは、医師の術式に驚かされたと言います。

「虫垂炎を患った人を何人か見たことがありますが、父に行った手術はこれまでと違います」と、キーさん。

彼が見たことのある虫垂炎の手術では腹部に長い傷跡が残っていましたが、サウさんにはたった3つの点状の跡だけだったと述べました。保健省組織人事部のファムヴァンタック部長によると、貧しい地区や離島地域に若い医師たちの派遣を保健省が認可したのは2013年3月のことだったとのことです。これは、貧しい人々がより良い医療サービスを受けられるようにすること、大きな病院への不必要な患者の転院を減らすこと、都市部の病院のオーバーワークを緩和することを目的としています。この政策の下、医大の成績優秀者や、医師ボランティアが派遣候補者として選ばれることになります。2年間の専門分野の研修の後、男子医師は3年、女性医師は2年、貧困地区の病院へ派遣されます。貧しい地域での人材不足の緩和のために派遣される医師は300名から500名の見込みです。

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